最終更新:2023年5月25日 English ver. availble
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外国人に対して行われる入管収容について、その期間の上限や審査のあり方、運用状況の比較を行いました(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、韓国、スウェーデン、イギリス、アメリカの9か国)。
入管収容や退去強制手続きは、各国で制度のあり方や位置づけが異なり、かつ複雑です。本表は各項目について単純な比較表としてまとめたものとなっており、各国制度の詳細は「出典」欄のリンクなどからご確認ください。
各国における入管収容制度
※比較対象:送還に関する決定が出された外国人の収容
(難民研究フォーラム | 2020年10月作成、23年5月最終更新)
国名 | 収容期間の上限 | 定期的な審査(カッコ内は審査機関) | 収容開始時の司法審査 | 被収容者数 | 平均収容期間 |
---|---|---|---|---|---|
オーストラリア | なし | なし | なし | 1,440人(2021/8/31時点) | 696日(2021/8/31時点) |
カナダ | なし | 48時間以内、7日間以内、30日毎(司法) | なし(※1) | 326人(2019-2020年の1日あたりの平均) | 13.9日(2019-2020年) |
フランス* | 90日(※2) | 48時間後、30日後(司法) | なし (※3) | 53,273人(2019年/年間) | 16.8日(2019年) |
ドイツ* | 6か月 (※4) | なし | あり | 2,777人(2018年/年間) | 24日(2018/3-2019/6) (Darmstadt-Eberstadt 収容施設の場合)(※5) |
日本 | なし (※6) | なし | なし | 13,216人(2020年/年間) 346人(2020年末時点) | 549.5日(2020/1/1時点) (東日本入国管理センターの場合)(※7) |
韓国 | なし | 3か月毎(行政) | なし | 統計なし(※8) | 30~39日(2021/6/30時点)(主要3施設の場合)(※9) |
スウェーデン* | 2か月 (※10) | 2か月後(行政又は司法) (※11) | なし | 2,528人(2020年/年間) 369人(2020年末時点) | 55.3日(2020年) |
イギリス | なし | 4か月毎(司法) | なし | 14,773人(2020年/年間) 910人(2020年末時点) | 統計なし (※12) |
アメリカ | 90日 (※13) | 90日後、180日後、18か月後、その後は毎年(司法) | なし | 19,254人 (2020年の1日あたりの平均) | 45.7日(2020年) |
*EU加盟国の場合、EU指令(Return Directive 2008/115/EC)で「各構成国は、6ヶ月を超えない範囲の期限で収容期間を設定しなければならない」とされている。
※1:収容開始から48時間以内に、独立行政裁判所であるカナダ移民難民委員会(Immigration Refugee Board of Canada)が収容に合理的な根拠があるかを自動的に審査する。
※2: テロ関連犯罪で有罪判決を受けた場合は210日。その場合、収容開始から180日までは1か月ごとに、その後15日ごとに収容要否に関する審査が行われる。
※3:行政判断による収容は48時間までしか行うことができず、収容開始から48時間以内に、行政裁判所であるJudge of Freedoms and Detention が法律に定められた収容の要件を満たすか、審査を行う。
※4:可能な限り最短でなければならない。司法審査により送還を妨げると判断された場合は、更に12か月延長可能。
※5:全国的な統計なし。
※6:退去強制令書に基づく収容の場合。
※7:全国的な統計なし。
※8:全国的な統計なし。2021年7月31日時点で華城・清州・麗水収容所に4,244人が収容されていた。なお、2021年6月30日時点で約450人が出入国庁や出入国事務所の「収容室」に収容されている。
※9:全国的な統計なし。2021年6月30日時点の華城・清州・麗水収容所の平均収容期間は、それぞれ32.5日、30日、39日だった。
※10:特別な事情(非協力的、必要文書の取得に時間を要する)がある場合に限り、12か月を超えない範囲で延長可能。
※11:加えて、収容開始から6か月経過後に収容代替措置の検討が自動的に行われる。
※12:2020年に放免された15,449人について、収容期間が29日未満は11,924人、29日以上2か月未満は1,766人、2か月以上4か月未満は1,020人、4か月以上12か月未満は634人、1年以上2年未満は97人、2年以上は8人だった。
※13:90日以内に送還が行われず、特定のカテゴリー(特定の犯罪について有罪判決を受けている、再犯(政治的犯罪を除く)、人身売買への関与等)に当てはまる場合は、延長することができる。
【出典】
オーストラリア 法律:Migration Act 1958 | 統計:Immigration Detention Statistics
カナダ 法律:Immigration and Refugee Protection Act | 制度:Global Detention Project | 統計:カナダ国境サービス局
フランス 法律:Code of Entry and Residence of Foreigners and of the Right to Asylum | 制度・統計:Global Detention Project | 制度:CGLPL | 統計:AIDA
ドイツ 法律:Residence Act | 統計:Global Detention Project | 統計:AIDA
日本 法律:出入国管理及び難民認定法 | 統計:難民支援協会 | 統計:e-Stat
韓国 法律:Immigration Control Act | 統計:Global Detention Project | 統計:2021年韓国の外国人収容所の現実(市民団体<マジュン>)
スウェーデン 法律:Alien Act | 統計:AIDA
イギリス 法律:Immigration Act | 統計: Immigration Statistics(Excel) | 統計:AIDA
アメリカ 法律:Immigration and Nationality Act | 統計:ICE(Excel)
なお、韓国に関する統計については、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター呉泰成氏から資料提供を受けた。
上記の表(23年5月更新版)は、こちらのPDFからもご覧いただけます。
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(21年7月更新版の表は、こちらのPDFより)