難民研究ジャーナル14号 「特集論文」の募集

難民研究ジャーナル

難民研究フォーラムでは、『難民研究ジャーナル』14号(2025年3月頃発刊予定)に掲載する「特集論文」を募集します。

14号の特集テーマは「難民と政治 ーミャンマーの民主化とクーデター、少数民族ー」(仮)です。

戦争や紛争、国籍、宗教、「人種」、政治的意見、ジェンダー/セクシュアリティなどに基づく迫害や深刻な人権侵害など難民となる理由は多岐に亘りますが、出身国における政治体制とその実相は、難民を生み出す大きな要因の一つです。また、逃れた先で難民として保護を受けることができるかという分水嶺には、少なからず避難先の国の政治が影響します。また、当然ながら、各国の国内政治は国際関係と複雑に絡み合っているため、難民を生み出す政治も、難民を保護する/排除する政治もある国の国境の内側で完結するものではありません。そのため、「難民と政治」を考えるうえでは、出身国・地域の政治に加えて、避難先における難民に対する政治や国際政治など多岐にわたる視点からの分析が必要になるでしょう。また、難民は政治に翻弄される存在であるだけでなく、それぞれが政治的な主体でもあります。こうした難民の行為主体性(Agency)も、「難民と政治」を考えるうえでは避けては通れません。

このような「難民と政治」というテーマが内包する論点や視点、分析枠組みの多様性・複雑性を踏まえて、本号ではミャンマーに焦点をあてます。

1948年まで続いた植民地支配、1962年のクーデターから約50年に亘る軍政支配と民主化運動、2010年から始まった民政移管と民主化、そして2021年に再びクーデターによる軍事政権に至るまで、ミャンマーの政治は移り変わってきました。その変化の中で、国内外で民主化を求める様々な運動が展開され、同時に多くの人が迫害のおそれから保護を求めて国内および他国に逃れました。軍政対民主派という単純な二項対立では捉えきれない、少数民族をはじめとするマイノリティを取り巻く政治や運動を含めると、国を限定してもなお「難民と政治」を捉えるためには多角的な視点からの検討が必要になるでしょう。

こうしたテーマを鑑み、本特集では、編集委員会が選定した特集論文に加えて、本テーマに関連する様々な研究分野、研究視点や分析手法からの投稿論文を募集します(詳しくは、下記の「特集主旨」をご参照ください)

※ミャンマー以外の国を対象に「難民と政治」を取り上げる論文も募集します。ただし、査読の結果、論文として掲載可となった場合でも、その内容や特集全体のバランスなどを踏まえて、通常の「投稿論文」として掲載する場合があります。予めご了承ください。

  • 締め切り:2024年5月末日(査読を経て8月末日を目途に掲載可否を通知します。掲載可となった場合でも一部修正を依頼することがあります。)

特集テーマへの投稿ではない投稿論文も募集しております。詳しくはこちらより。
※その他、報告(1万2,000字以内)の投稿にご関心のある方は、難民研究フォーラム事務局までご連絡ください。
 info@refugeestudies.jp

特集主旨

2021年2月1日に起きた軍事クーデターを受けて、迫害を逃れてミャンマー(ビルマ)から逃れる人々が注目を浴びた。日本においても、政府は在ミャンマー人への「緊急避難措置」に基づく在留資格の付与など例外的な対応が取られている。 

2011年の民政移管の実現と、それに続く2015年総選挙によるNLD政権発足後、少なくとも日本においては、ミャンマーの「民主化」が実現したとされ、経済協力の大幅な拡充などが行われてきた。世界的にも欧米諸国との関係改善やASEAN議長国の就任など、民主主義国家の一員として国際社会の舞台にも復帰を果たしていった。一方で、民主化以降においても、ロヒンギャへの殺害や迫害、70万人を超える難民の発生を筆頭に、少数民族などへの人権侵害や国内避難民、難民の発生が報告されていた1

また、2015年以降もミャンマーにおいては、民主化活動家が逮捕、拘禁、未釈放があり、相当数のミャンマー出身者が避難先の国で難民として認定がなされていた。統計を見る限り、欧米をはじめとする諸外国では、民主化後も引き続き、ミャンマーからの難民が認定を受けていた。

日本においても、諸外国と比較すると人数は少ないものの、ミャンマー(ビルマ)難民は、これまで国内の難民認定者の中で多くの割合を占めてきた。また、人道配慮を含め、その他の在留資格を得て日本に定住している人、2010年に開始した第三国定住で日本に渡ってきた人も合わせると、相当数が日本で生活している。しかし、2011年民政移管以降の難民認定数と人道配慮は顕著に減少し、2017年以降は少数民族も含めて1件も認定されない状況が続いていた2

個別ケースにおける難民不認定処分の判断の妥当性は、難民申請理由や審査時点における出身国情報などを踏まえて検証すべきものではあるが、総論としては、国政選挙の実施やNDL政権の発足を契機に、ミャンマー難民への迫害のおそれを過小評価し、適切に保護してこなかったという批判は免れないだろう。

日本において、ミャンマーの政治/現代史に関する論文等は多数存在するが、難民・強制移動の視点から、ミャンマーの民主化やその実相について、包括的に取り上げた研究は限られている。そのため、本特集を企画することにより、日本で難民・強制移動問題に取り組む研究者や実務家の間で、ミャンマーの歴史、政治、また民主化に関する解像度を高め、更なる研究の深化や保護の拡充に向けての議論を喚起することを目指す。

以上

  1. 諸外国の難民認定審査に関わるミャンマーの出身国情報については、以下に整理されている。難民研究フォーラム「出身国情報:ミャンマー」 https://refugeestudies.jp/wp/wp-content/uploads/2022/05/COI_source_MMR_2311.pdf[]
  2. 渡邉彰悟「総論 ミャンマー出身難民申請者の保護のこれまでの経緯と現状 〜緊急避難措置の意義とその現実の運用等」『Mネット』218号、6~9頁。[]
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