収容代替措置(ATD) 各国制度比較

資料集

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「入管収容は最後の手段としてのみ使用し、代替措置を追及すること」(GCM 目的13)

2018年に日本を含む152か国の賛成により採択された「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)」は、収容代替措置(Alternative to Detention、以下ATD)についてこのように定めています。実際、多くの国では、外国人を収容する際の要件が定められており、その要件に該当しない者について、収容施設外での生活を認める措置=ATDが実施されています。加えて、保護者のいない子どもや女性、元受刑者など、特定のグループに特化したプログラムを実施している国もあります。

今回、各国で行われているATDのうち、ケースワークや生活支援に力を入れているものに着目して、制度の比較調査を行いました1

なお、この調査は難民申請者ではなく、外国人一般に関する収容制度を対象としています。難民申請者については、その国でどのような処遇が行われているか(難民申請中の在留資格のあり方、住居提供の有無、退去強制手続きとの関係など)によって収容のあり方が異なり、国や地域によっては、難民申請者をそもそも収容の対象として想定していない場合もあります。

【収容代替措置とは2
「国際拘禁連盟(International Detention Coalition、以下IDC)3 」は、ATDを「人々を、移民に関連する理由で収容しないための法、政策、運用」と定義しています。また、最も有効なATDのあり方として、CAP(Community Assessment and Placement)モデル、すなわち、「自由権」及び「最低基準」の遵守を包括的原則とし、「身元特定と意思決定(スクリーニングとアセスメント)」「居住オプション(条件なし~条件あり~最終手段としての収容)」「ケース・マネジメント(支援や事案の解決)」を行う措置を提唱しています。例えば、日本における仮放免は、収容を一時的に解く制度であるとはいえ、自由権や最低基準、ケース・マネジメントといった観点が含まれておらず、CAPモデルとは相容れないものであると言えるでしょう。本調査では、CAPモデルを踏まえつつ、ATDのあるべき姿を考えるにあたり特筆すべき制度を紹介しています。

1.調査結果概要

(1)主要国におけるATD実施状況(地域別) 4
地域ATD実施状況
アジア太平洋オーストラリア、香港、インドネシア、日本、マレーシア、ニュージーランド、タイなどで実施
ヨーロッパ2019年時点で、EU28か国中少なくとも18か国で実施もしくは関連する取り組みあり
アフリカ32か国で関連する取り組みあり
アメリカカナダ、アメリカなどで実施

(2)各国制度比較

ATD実施制度名コミュニティや 民間による支援国の費用 負担の有無対象
オーストラリア◎(※1)Community Detention被収容者
カナダATD Community Programming被収容者
ドイツ△(※2)Youth Welfare Services保護者のいない子ども
日本空港において難民としての庇護を求めた者に係る住居の確保等に関する事業庇護希望者(空港)
イギリス①Action Access – Community Engagement Pilot ②Community Support Project①収容前・収容中の女性 ②元受刑者
アメリカIntensive Supervision Appearance Program18歳以上の被収容者

◎=法律に規定あり、〇=法律に規定なし、△=実施されているがNGO等より批判あり or 限定的な実施、ー=実施されていない

※1:難民申請者など地位がまだ確定していない非正規滞在者については、Bridging Visa という一時的な在留資格が与えられる。
※2:必要な書類を用意することができない、もしくは出身国での紛争といった理由で帰国をすることができない非正規滞在者には、「Duldung(toleranceの意)」と呼ばれる書類が発行される。「Duldung」保持者は、国が指定する地域に居住し、移動の際は許可を得なければならない。また、1年が経過すると、就労権を得て、社会的サービスを受けることができるようになる。加えて、難民申請者はレセプションセンターで、申請から3か月間支援を受けながら生活し、その後、民間の宿泊施設等に居住する。よって、収容の対象にならない。

(3)ATD対象者に課される条件について(下記のいずれかもしくは複数が課される)

(定期的な)出頭住居の 指定住所の 報告出国手続への協力・カウンセリング電子モニタリング/タグ書類(パスポート)の提出・放棄
オーストラリア
カナダ(※)
ドイツ
日本
イギリス
アメリカ

◎=法律に規定あり、〇=法律に規定なし、ー=実施されていない
(※)Electronic Supervision program と呼ばれ、通常のATDを補完する形で行われる。

2.各国制度詳細

以降の詳細は、こちらのPDFよりご覧ください。

【目次】
(1)コミュニティモデルを実施している国:オーストラリア、カナダ
(2)特定のグループに特化したATDを実施している国:イギリス、ベルギー、日本
(3)民間が積極的な役割を果たしている国:香港、オランダ
(4)難民申請者について特徴的な制度がとられている国:ドイツ、スウェーデン

  1. 本調査は、特定非営利活動法人 なんみんフォーラム(http://frj.or.jp/)の協力で実施しました。[]
  2. International Detention Coalition “There are Alternatives” [https://idcoalition.org/wp-content/uploads/2015/10/There-Are-Alternatives-2015.pdf] (30 Sep. 2020) より。[]
  3. オーストラリアを拠点に活動する国際ネットワークNGO。100か国400以上の個人・団体が加盟し、ATDに関するアドボカシーや調査研究、キャパシティ・ビルディングなどを実施している。[]
  4. ヨーロッパの実施状況は、Asylum Information Database の国別レポート(2019年)による。なお、European Migration Network “Synthesis Report – The Use of Detention and Alternatives to Detention in the Context of Immigration Policies” [ https://www.refworld.org/docid/546dd6f24.html ] (30 Sep. 2020) によると、2014年時点ではEU加盟国26か国中、24か国でATDに関連する取り組みがあった。アフリカの実施状況は International Detention Coalition “There are Alternatives: Africa” [https://idcoalition.org/wp-content/uploads/2018/04/There-are-alternatives-Africa-2018.pdf] (30 Sep. 2020) より。[]
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