「特集論文」の募集 – 難民研究ジャーナル15号

難民研究ジャーナル

難民研究フォーラムでは、『難民研究ジャーナル』第15号(2026年3月頃発刊予定)に掲載する「特集論文」を募集します。

15号の特集テーマは「難民の『社会統合』を考える」です。

紛争や重大な人権侵害などの迫害により、暮らしていた場所を追われている人数は増え続けており、全世界で1.2億人が避難生活を送っています。長年にわたり難民問題の恒久的解決策としては、本国への自主帰還、庇護国での社会統合、第三国定住の3つが掲げられており、いずれかの場所において、失われた権利を回復し、難民である状態ではなくなり暮らしていくことが想定されています。しかし、恒久的解決にいたる難民は限定的であり、世界各地で移動を強いられる人は増加する一方です。将来の見通しが立たないまま、長期間にわたって避難先に留め置かれている状況が各地で発生しています。いわゆる「長期化した難民状態(Protracted Refugee Situations:PRS)」に置かれている人も2,490万人以上にのぼっており、何十年にもわたって住み慣れた地域や家を追われている人も少なくありません。こうした状況の中、難民に対する経済的・社会的な包摂と参加を促進し、恒久的ではないにせよ、尊厳のある自立した生活を保障する取り組みへの注目が集まっています。一般に、難民が避難先の社会において一定の経済的、社会的・文化的、法的な権利を獲得し、経済的・社会的包摂や参加を達成すること、あるいはそのプロセスは「難民の統合(Social Integration、あるいはLocal Integration)」と呼ばれています。

これまで日本における難民・強制移動研究を含め、難民の社会統合に関する理論、政策、実践においては、主に「難民がどのように変化し、統合していくのか」という点が焦点化されてきました。その一方で、統合に関する諸研究では、統合が難民といわゆる「受け入れ社会」の双方向性的なプロセスであると指摘しており、受け入れ社会が統合を促進するために果たす役割の重要性について検討しています。実際に、難民が経済的・社会的に包摂され、受け入れ社会の一員として社会参加を果たすためには、受け入れ社会の法制度や施策をはじめ、社会的な基盤が不可欠です。また、統合を掲げて実施された政策が、結果として、ある集団を差別し、排除することがある点に関しては、移民研究の領域では豊富な研究蓄積があり、難民に関しても同様の懸念があります。そもそも「統合」という概念を用いて実施される政策が、何を目指し、誰に対して、どのような変化をもたらそうとしているのかについても批判的な検討が必要です。

こうした議論を踏まえて、本特集では、難民が統合していくプロセスだけに留まらず、国際的なレベル、国レベル、自治体などの地域レベルで行われている難民支援策などが与える影響にも焦点を当てます。公的な制度だけではなく、民間支援団体や地域コミュニティ、難民の互助組織などをはじめとする難民にかかわる多様なアクターの取り組みにも着目します。また、本特集では既存の研究や政策において用いられてきた統合概念(多文化共生や共生社会、社会的包摂、多様性などの近接概念を含む)を批判的に検討する論考も歓迎しています。

上記の内容に留まらず、多角的な視点から統合を捉える論文の投稿をお待ちしております。

※査読の結果、論文として掲載可となった場合でも、その内容や特集全体のバランスなどを踏まえて、通常の「投稿論文」として掲載する場合があります。予めご了承ください。

  • 締め切り:2025年5月末日(査読を経て8月末日を目途に掲載可否を通知します。掲載可となった 場合でも一部修正を依頼することがあります。)

特集テーマへの投稿ではない投稿論文も募集しております。詳しくはこちらより。
※その他、報告(1万2,000字以内)の投稿にご関心のある方は、難民研究フォーラム事務局までご連絡ください。 info@refugeestudies.jp

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